青春18切符の旅

約17時間の車窓の人 ~ 四国遍路覚書4

100822(日)晴れ だいたい、この私が住んでいる地域あたりから青春18 切符で四国へ行こうとする大バカ野郎はあまりいない、と思う。約17時間の電車旅。乗り換えが7回もある。一回乗り間違えたらその日中に着けない。既に修行(?)が始まっているようなものだ。

 

青春18切符を使うのは今回が初めてではない。この切符の意外な嬉しいところは、切符を駅で提示する時、そこの駅員さんから「行ってらっしゃい!」と声を掛けられることだ。

 

最初に使ったのは、もう数年前になるか、用事で東京に行き、そこから佐世保に帰る時だった。深夜の臨時夜行列車に神奈川県小田原駅から乗った際、改札口でそう言われた。「行ってらっしゃい!」

 

その言葉の後には(どうぞ良い旅を! …人生を楽しんで来て下さい)…語られ ないけれど、そういう意味が込められてるのでは?とも思う。

 

そう言われると、「ああ~自分はこれから大いなる旅に出るのだ~!」という旅に対する気持ちがいやが上にも盛り上がる。18切符の時しか聞けないこの 言葉は、何かいいなぁ~と思っていた。

 

早朝、未だ人がまばらな佐世保駅の改札口で18切符を提示したが、「行ってらっしゃい!」の言葉は駅員さんから聞けなかった。スゴク残念ではあった。

 

 

時刻表の乗り変えスケジュールを眺めると、どうもちゃんとした食事を取れる時間がありそうにない。どうなるか判らないので、ひとまず、コンビニのおにぎりを数個買っておく。これは後で判るのだが正解だった。というのは、18切符はどの駅でも乗り降り自由なのだが、乗り換え時間の関係で、結果的に電車の中でしか食事出来なかった。県境を走るなどガラガラの時はいいが、日曜日だし行楽の人も多い。そういう中、おにぎりは機動力があり場所も取らずに摂取出来助かった。

 

17時間もの間、折々にRさんとメールをやりとりしつつ、遍路のガイドブックで、参拝の仕方、そして、持参したMDに録音してる般若心経を聞きながら、経の上げ方を何度も練習、シュミレーションして過ごした。17時間も電車に揺られるのは、それだけで修行だと当初想像し覚悟も決めていたが、エアコンが効いていて快適だし外は炎天下。田圃の作業に比べたら天国の様な時間であった。(以下の写真はクリックすると、大きくなりコメントもありマス)

四国遍路の第一番寺「霊山寺」に最も近いのは、JR四国高徳線、徳島県鳴門市の板東駅。ここに、夜11時過ぎに着く。Rさんは駅近くの「道の駅」に駐車しているハズだ。 Rさんも関東からの長旅、疲れておられるハズ。夜も遅いし、自分がそこまで行くから迎えはいいよと、メールしていたのだが、駅に着くと、Rさんのとすぐ判る箱型の車が私を待っていた。何せ田舎の小さな駅、他に待つ車などない。少し前のメールではそんな気配、おくびにも見せてないのに。チョット感激である。

 

「飯食ったか?ラーメンならあるぞ…」Rさんは一見ぶっきらぼうだが、その実凄い洞察力と深い思いやりをお持ちである。食事がよく摂れなかったのを知ってるのだ。最近のコンビニのおにぎりは企業努力で美味しいが、さすがに温かいものが欲しくなる頃だ。「いいっすね〜」

 

そうやって、久し振りにRさんと会い「道の駅」に戻り、戸外でカセットコンロでお湯を沸かし、Rさんが用意したカップうどんだったと思うけど、それを食べた。ウマイ。こういう所で食べるのは!Rさんは、ものすごくこういう状況に慣れている。アウトドア派なのだ。いや、自然児といった方がより雰囲気だ。お似合いの甚平など着て好きなコーヒーを飲み、何やら鼻歌など歌ってる。もうすぐ満月の明るい月が天空にある。あたりは静かだ。ここにこうしている事の不思議。この非日常感がタマラナイ。

 

僕等は2人とも初めての場所に互いに何百Kmとやって来た。そして、あのビートニク世代のジャック・ケルアック著『路上』ではないが、何日も逗留してる路上系の人々のように、「道の駅」の水道で体を拭き歯を磨き、車で朝を迎えた。 僕等は四国遍路にとうとうやって来たのだ。

ジャック・ケルアック著『路上』(河出文庫)1983
ジャック・ケルアック著『路上』(河出文庫)1983

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント: 3
  • #3

    Everard (月曜日, 23 7月 2012 16:15)

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  • #2

    planetary-n (日曜日, 05 9月 2010 22:15)

    tsuyoshiクン、いつもコメントありがとうございます。そうですね。『青春18切符』、いいネーミングですよね。私は特に、その時々のPRポスターに旅への気持ちを掻き立てられてとても好きです。旅に行けなくてもA4のポスターをいつも手に取ったりします。おっしゃる通り、人は皆んな、そんな旅をして見たいと思ってるのかもしれません。思い立つのは、日常の思いを断って、ということなのかもしれません。行きたいのなら行ける時に行きましょう。元気でいられる人生は短いものです。

  • #1

    tsuyoshi (日曜日, 05 9月 2010)

    nさん、こんばんは。青春18切符かぁ。いい響きだね。大人になると目的地までいかに早く、快適にいけるかに気をとられてしまうけど、実はみんなそんな旅をしてみたいと思ってるのかもしれないね。組み写真、実にリアルに今回の旅を語ってくれてます。私も高校生の時、乗り換えに鳥栖駅を使ったことが2度ほどあり、懐かしく拝見しました。自分の中では、今はたんなる通過駅になってしまい残念です。次を楽しみにしてます。(*^^)v