1番札所[霊山寺] ~10番札所[切幡寺]

聖地巡礼 第1日目 ~ 四国遍路覚書5

100823(月)晴れ 四国遍路第1日目の朝、天気は上々、申し分ない晩夏の朝だ。私とRさんは道の駅のベンチでお湯を沸かしコーヒーを飲み、簡単な朝食を摂り準備をし、ここからそう遠くない一番札所へと向かった。

 

向かう時に、あたりまえのことなのだが、何か忘れ物とかをしない限り、もう、ここの場所にはたぶん二度と来ない。そのことを思うと、一切は一期一会であることを強く感じ、そこに何か透明な風が吹き抜けるのを感じた。

 

常日頃の日常も、本当は一期一会なのだが、明日もまた昨日の連続で、相変わらずの変わリ映えのしない風景がそこに在ると思ってるが、そうではない。一切は変化してる。そのことに気付いてないだけだ。こういう非日常の時間に身を置くと、そういうことに敏感になる。たぶん二度と来ることのないその場所との別れ、そのおしまいの感じ。それは凄く新鮮だ。思わず呟く。「ありがとうごさいました、道の駅、“第九の里”!」

 

振り返らず、四国霊場第1札所へ。

 

この入口に、遍路案内所がある。ここで遍路に必要な用品を揃える。担当のお坊さんが丁寧に説明対応してくれる。

 

そもそも遍路には、どういうものが必要なのか? 色々あるのだがガイドブック等で事前にリサーチし、最低本当に必要な物だけを購入する。それは、衣装的には、菅笠(すげがさ)、白衣(びゃくえ・白装束の上着)、金剛杖(こんごうつえ)、それに白い頭陀袋(ずだぶくろ)だ。その中には、納札(おさめふだ)、納経帳、御影帳(みえちょう)、等を入れる。これらがどういう物なのかは追って。

 

値段も色々あるのだが、私は何も迷わず一番安いのを買う。私のチョイスで全部で約一万円位だ。因みにRさんは、ある程度の御年配なので、それなりのを買われる。その他に必要なのは、短めのローソク、お線香、御経本、ライター、御賽銭等。

 

日頃、そう馴染みのないものばかり。しかし、その作務衣みたいな構造になっていて、背中に「南無大師遍照金剛」と、美しい墨字で書いてある白衣を着て、弘法大師(空海)を表す梵字と「同行二人」「迷故十方空」「悟故重十方空」「本来無東西」「何処有南北」と手書きで書かれた菅笠を被ると、不思議と一気に厳かな清い気持ちになれる。四国でこの恰好でいる限り私たちはお遍路と見なされる。なので、こちらも着てる時はそのように行動する。

 

白衣を纏った自分は、デザイン的にも凄くカッコイイのでチョット嬉しい。わりと似合ってると思った。Rさんはというと、もともと、チベットの老高僧とか破戒僧系のお顔立ちなので、もう〜、まんま導師のようである。そうなると、私はイマイチ気の利かない弟子?、よく判らないが、とにかくそうやって遍路は始まるのであった。

 

お互いに遍路白装束で、晴れて一番札所「霊山寺」をお参りする。

ご存知の方もおられるかと思いますが、お参りの仕方はこうだ。

 

まず、入口の山門で一礼する。参道の左側を歩いて、手水場(ちょうずば)で左手、右手の順に柄杓で水を掛け清め、左手で受けた水で口をすすぎ、柄を水で洗い流して元に戻す。清めが終わってから数珠を身につける。

 

鐘楼の鐘を2度突く。仏様にこちらを向いてもらう意味だそう。それから全ての札所に本堂、大師堂というのがありそちらで、お参り(読経)をやる。

 

そのやり方は、まず本堂へ行き、金剛杖を所定の置き場に置き、持参した短いローソクにライターで火を灯す。仏の知恵を頂く意味だそう。灯明台に奥の方から順に立てる。もらい火はその人の業までもらうと云われるので避ける。線香を3本立てる。仏の徳を頂く意味だそう。何故3本かは、真言密教で仏の身・口・意の三つの働き=「三密」によるものらしい。

 

それから納札箱に納札を一枚差し入れる。この納札というのは、幅約3、5cm長さ約位のかなり薄い紙で、200枚入りで200円弱で売ってる。

  これの表に年月吉日と書き、住所・名前を記入、裏に亡くなった人の俗名や願い事を書き、本堂、大師堂にそれそれ一枚ずつ納めるのだ。(これを書くのが結構たいへん)そして御賽銭を投げずにそうっと入れる、たいてい10円。

 

その後、真言密教の長い数珠を右手の中指と左手の人指し指間にひとねじりして合掌し、なりべく左端に寄って読経する。読経も一連の流れがあるが、また後で紹介。

 

読経が終わると、納経所という場所があり、そこはお坊さんが居て、納経料300円納め、参拝した証に購入した納経帳にそのお寺の墨書朱印を頂く。それから、「御影様」というそのお寺の御本尊が印刷された札を頂き、御影帳に挟んで整理していく。帰りに山門を出る時もう一度礼をする。 

 

これがひとつの流れである。ややこしいようであるが、慣れるとひと連なりの流れ動作になる。が、最初は、何かと忘れたり覚束なかった。

 

1番札所から10番札所までは、穏やかな阿波の里山的風景の中に比較的それぞれ近くにある。1日目は本来7番の札所までが予定だったのだが、スタートが早かったのか、わりとスムーズに10番札所まで行った。

 

(参考:四国遍路札所地図

 

本日もご訪問頂きありがとうございます。良い事がありますように…!

 

 (以下、画像クリックで拡大、矢印選択でスライドショー可です)

 

 

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コメント: 4
  • #4

    planetary-n (木曜日, 09 9月 2010 23:52)

    tsuyoshiさん、ありがとうございます。四国ってたいていの方は、そう〜馴染みがない思います。私も数年前までそうでした。はっきり言って四国は、本州と全く違う気配です。もう〜それはどういったら良いか…、良き日本、おだやか、厳か、そして険しい山々と太平洋の海、全土が彼岸に近く宗教的静謐感に溢れている…。藤原新也の『メメント・モリ』的風景。「お接待」というホスピタリティ精神…。自分でも纏まってませんが、この報告を終えるまでには四国とは、遍路とは何なのか、自分なりに形に出来たらと思います。

    自転車で遍路やってる強者もいました。45番から松山へと向かう峠道の下りを、遍路姿で疾走!。その自らの姿をでデジカメに撮りつつ走ってました。

    もちろん歩いてる強者もおられます。たった一人で…あの炎天下、そうとう大変!一体どんな気持ちで歩いてるのか…。途方もない距離を歩くことを知ってるので、もう、コチラはひたすら頭が下がりました。

  • #3

    tsuyoshi (木曜日, 09 9月 2010 23:20)

    nさん、報告ブログの件了解です。十分楽しませていただいてますので、ご心配なく。(*^_^*)
    そうですね~。是非やってみたいです。四国の地は踏んだ事がないので、是非行ってみたいと思います。以前、ランドナー自転車でまわった方の本を読んだことがあるんですが、できれば私も車と自転車両方使った旅がしてみたいです。では、また。(*^^)v

  • #2

    planetary-n (木曜日, 09 9月 2010 23:06)

    tsuyoshiさん、こんばんは。いつもコメントありがとうございます!感謝します。この四国遍路はひとえにRさんのお陰です。私は、お供させて頂いたにすぎません。しかしそういう形であれ、四国八十八ヶ所前半編に行けた事は、もの凄く良かったと思いました。どういう訳かご縁を頂き、ひたすら感謝でありました。tsuyoshiさんにも機会あったら是非お勧めします!足腰を考えると60代までだと感じました。

    この遍路報告のブログは、Rさんのご希望もあって、Rさんの露出を少し控えてます。本当はもっと紹介したい味のある画像もた〜くさんあるのですが、割とありきたりの画像での紹介になってしまうかもです。私としても辛い所ですが、そうなったらお許し下さいね。次のUPが遅れています。ご免なさい。このところやる事が多く編集が遅れてますが、(結構時間もかかる)でもちゃんとご紹介したいと思ってます。少しお待ち下さいね。デジブックで公開という構想もないわけではないのですが、何せこればかりかまってられないので、(じっくり時間が取れないので)従来の見せ方になるかと思います。自分も早く遍路を総括したいところです。


  • #1

    tsuyoshi (木曜日, 09 9月 2010 22:35)

    初日から進みましたね。私は昔七福神詣りを一日かけて車でやった事がありますが、七つの寺をまわるだけでも大変疲れたのを覚えています。88か所詣りみたいに複雑でもないし、格式もかなり緩いというよりただ御参りして、七福神の印を押してもらうだけの簡単なものでしたが、それなりに達成感がありました。これの何倍も大変な事を成し遂げた、nさんの今の心中を察すると人ごとながら興奮を覚えます。とってもうらやましいです。そしてこれからまわられるところは昔、龍馬達が歩いた場所であるかもしれないですね。もっとも我々長崎人は地元の近くでも足跡を重ねたかもしれませんが・・・(^◇^)
    素敵な写真をありがとう・・・(*^^)v