21番札所[太龍寺] ~ 26番札所[金剛頂寺]

聖地巡礼 第3日目 ~ 四国遍路覚書7

100825(水)晴れ 遍路第3日目。
この日、最も印象に残った寺は、「西の高野山」と呼ばれ、標高500m の高所にある太龍寺だった。ロープウェイで登ったというのも、単調になりがちな遍路にアクセントがついたのだが、一気に高見に登り、2つの山を越えた高所にある寺の入り口は、まるで宮崎駿監督の映画、『天空の城ラピュタ』のような、静謐で精妙なバイブレーションに満ちていた。

 

見事に手入れが行き届いた参道や敷地は、聖地に相応しい全くの別世界だった。天気は相変わらす猛暑なのだが、ここは高地で深い緑があるせいか、涼しい風が吹き抜ける。

 

ここで私共は敷地内の庭を整備している人から声を掛けられた。「どちらからおいでですか?」ご年配の方であった。Rさんが「東京からですよ」と応える。「私も東京に家があるのですよ…この太子堂の後ろ側は通路で歩けますから是非御覧下さい」何でも由緒ある建物があるそうだ。それが具体的に何だったのかは失念したのだが、進められるまま拝観する。

 

参拝の帰りにも、再びお会いしたのでお礼の挨拶をしたのだが、私は、『天空の城ラピュタ』に出て来た聖なる森の番人をこの方に見い出していた。「何か縁あってここにおられるのだろう…ここに呼ばれたのかもしれないなぁ…」それが私の自然な役目と言う感じで、美しい庭の手入れを淡々とやっておられた。

 

もう暫くここに佇んでいたい。そういう気持ちにかられ去り難い磁場があった。しかし私共は先へ進んだ。

 

 

              土佐高知へ

 

 

第23番の薬王寺を過ぎると、次の第24番、最御岬寺(ほつみさきじ)までは約80km離れている。高知県の東側、室戸岬突端にそれは在り、そこまでの果てしない海岸沿いの道を約2時間ひた走る。

 

私は海が珍しい。私の住む長崎県は日本一の海岸線を持っていてその殆どの町が海に面している。が、3つくらい面してない町がある。私の町はその一つ。私はまた、午後の日射しが新鮮である。私の家は谷間の北斜面沿いにある。なので、午後は殆ど日が当たらない。だから午後の日差しが新鮮。なので、「午後の日射しの当たる海」という組合わせに、私が反応しない訳はない。

 

しかも太平洋。初めて訪れた土佐高知。おりしも2010年の夏の終わり。雲一つない快晴。それを進行方向左手に見る。助手席にいるのでより海側。ほぼ海しか見えない。逝く夏の、午後の日射しに煌めく穏やかなパシフィック。それを約2時間近く!独り占め状態!

 

感動しない訳がない。「嗚呼〜、オオゥ〜」何度となく、ワケノワカラナイ奇声を発しながら、カメラのシャッターを切る。

 

隣のRさんは、そういう私を好きにさせ、(というかほっといて)がっちり安定した走行をキープしつつ、「ブン!ブン!ブン!ハチが飛ぶぅ〜!お池のまわりに!お花が咲いたよ!ブン!ブン!ブン!ハチが飛ぶう〜!」等と、ワケノワカラナイ童謡、唱歌を鼻歌まじりで歌っている。

 

眠気を押える為か、ご機嫌なのか、たぶん、その両方なのだろう。ほんの数日前に親しくされてたお姉様を亡くされたばかり。その心痛は私ごときには計りしれない。にも関わらず、「森の木陰でどんじゃらホイ〜」などと口走るRさんは、何処かイノセントでまったく憎めない親父なのだ。

 

自分が今、このイノセント親父と、この果てしなくも美しい海岸線をひた走ってる不思議。そしてこの瞬間、この見える全ての世界、その刹那は、もう二度と帰って来ないということを思うと、またしても胸が一杯になり、どうにもせつない気持ちになる。「刹那の中の永遠」というようなモノに、触れた気がしたのだった。

 

参考):四国遍路マップ

 

(以下画像、クリックすると拡大、コメント有り、スライドショー選択可)

本日も、ご訪問頂きありがとうございます。良いことがありますように…!

 

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コメント: 4
  • #4

    planetary-n (木曜日, 23 9月 2010 12:37)

    こちらの手違いで、tsuyoshiさんの♯1に対するへ返事を消去してしまいました。内容は、遍路覚書UPが思ったより手が掛かってやれやれと思ってること、Rさんが一言で言えない、沢山の魅力を持った人であること。四国の海が果てしなく綺麗だったこと等でした。ごめんなさい。

  • #3

    planetary-n (木曜日, 23 9月 2010 12:28)

    lanetary-n (水曜日, 22 9月 2010 01:46)

    tsuyoshiさん、こんばんは!ご返事遅れましたが、再びのコメント、まことにありがとうございます。

今日は、さすがに、もうかんべんしてヨ〜といいたく成る程の真夏でありました。こう暑いと、お年寄りの方とかは参ってしまうと思います。私どもでさえ、もう参ってしまいますからね…さて明日からは雨で、季節が変わりそうです。

    

遍路紀行、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。作った甲斐あったというものです。私としてみても、確かに作業に面倒な所もあるのですが、こうやって、文章と写真で纏めると、自分の中でも、その体験がどういうものだったのか、再確認出来る良い機会なのであります。

上手く処理出来ないモヤモヤした感情や自分の意識の推移が、書く事によって再確認出来その輪郭が明確になるのですね。ですから、実は何より自分が、その体 験を整理したいが為にまず、書いているところがあります。それが少しでも、何か楽しんで頂けたらまったくこれ以上のものはありません。ありがとうございます。

    

人生で出逢う人というのは既に決定されていて、時期が来たら、そうなるようになっている。出会いまではセットされてるが、それから先どうするかは互いに任 さ れてる。或は、出会いはそれ以前にその、背後にいるとされる守護霊、そのレベルでの話し合い?のようなものがあり、しかるべきに2人を合わせようと決定さ れている…。

    

…っというのが、精神世界方面での代表的な考えだと思いますが、Rさんの出会いもそのようなのものかもしれませんね。

    その出会いの意味は、時間が経たないと判らなかったりしますが。

私は20数年振りに実家に戻って来て、「人生で出逢うべき人とは、もう出逢った」、もともと積極的に自分からは出会いを求めない方なので(笑)この田舎だ し、ますます出逢いなどある訳ない!(笑)とハナから思っていたものですが、以外な形でセットされてるのだなぁ〜と思うばかりですね。Rさんに限ったこと ではありませんが…。

    

仏陀の言葉に「対面同席五百生」というのがあります。対面して同席する人は最低でも500回、人別の人生を一緒に過ごしていると言う意味だそうです。一億 2千万 人もいて、家族以外で、食事を供にするというのとかは、余程、縁があるのでしょうね。このあたりも書くと長くなりそうなので、また別の機会にしますね。

    

大切な事柄が決定された連休だったのですね…。



    今の時代に「志」を持ってる人を素直に尊敬します。おっしゃる通り、世界が近くなり一つの国の影響がすぐ世界に影響するこの時代、最低でも、国境を越えた、コスモポリタン、地球人意識は必須ですね。しかし、それは不可欠だとしても十分条件ではない気がします。

    

誤解される事を恐れずに言ってしまえば、明治維新ならぬ、地球維新、あるいは宇宙維新の時代かと。そこには意識の量子的ジャンプが必須だと個人的には思っ てます。異常気象、クローン技術(ES細胞、iPS細胞等)や、遺伝子操作(性格遺伝子操作等)未知の病原体等が、黒船とも言えるかもしれません。或は第三種接近遭遇?

  • #2

    tsuyoshi (月曜日, 20 9月 2010 22:38)

    nさん、こんばんわ。(*^^)v  いいです。いいです。ゆっくりやってください。次の旅までは、まだ時間があると思うので楽しみは少しづつ・・・。
    といいながらも次の桂浜、楽しみにしてます。
    Rさんとの出逢いもまた、nさんの人生に大きな意味があるんでしょう。
    ところで、連休はなにかと忙しくて疲れてしまいました。何をしていたかはいずれメールででもお話したいと思っています。これから生きるであろう3/1の人生をどう生きるか決めた3連休でもありました。
    今の時代の「志」って、きっと龍馬の時代よりももっと大きな視点が必要なんでしょうね。最近のニュースに九州と中国・台湾の地図が良く出てくるけど、なんと近いこと。台湾・中国・韓国・北朝鮮って東京を中心に見た地図では割と遠く感じるけど、九州を視点にした地図だとびっくりするくらい近いですよね。日本海や東シナ海を中心にした、信頼関係って急務と思います。そういった意味で長崎・福岡ってこれからも熱いかも!!です。

  • #1

    tsuyoshi (月曜日, 20 9月 2010 18:56)

    nさん、忙しい中11番から26番の掲載ご苦労様でした。何かRさんとの旅は楽しそうですね。優歌団の木村さんをなぜか思い浮かべてしまいました。鼻歌のせいかな?それにしても四国の海は綺麗ですね。龍馬伝のおかげで、今年は高知県は観光客も倍増みたいですね。(*^^)v では、また。(^◇^)