江戸川乱歩賞受賞作『QJKJQ』

 

          全国の書店で絶賛発売中!

 

一つ前のブログでご紹介した、今年2016年、第62回「江戸川乱歩賞受賞、友人佐藤究氏著の『QJKJQ』が、晴れて全国の書店に並んだ。

 

8月9日発売だったが、12日には、地元佐世保市の、TSUTAYA梅田店、最新刊の棚に並んでいた。また、用事あって訪れた長崎市、浦上の「みらい長崎 COCOWALK」内「宮脇書店」でも、しっかり目立つ場所にそれはあった。

 

日本の西の果ての長崎県、そのまた最果ての街の書店でも発売されているということは、2016年8月下旬現在、全国のほとんどの書店にて、この『QJKJQ』を手に取れるということだ。

 

 書店のない町に住んでいる私ストレンジは、アマゾンに予約注文してて8月17日に受け取った。予約してたせいか、正規注文より少し安く入手。ささやかに嬉し。

 

           表紙・作品意図

 

あらためて本書「QJKJQ」を眺めて見る。表紙はM・エルンストの作品だと思う古風でミステリアスな装画。帯には“私の家族は全員猟奇殺人鬼”のコピー。黒と金文字だけの抑えた色使いが、本書を格調高いものにしている。

 

2016年の今、という時代性は、表紙からは伺えない。むしろ昭和初期の探偵雑誌『新青年』のようなアナクロニズム感がある。その当時の奇書、夢野久作著『ドグラ・マグラ』等をあえて意識したのかもしれない。

 

今、手元にないので正確ではないが、「小説現代7月号」に掲載された、佐藤さんの受賞の言葉を思い出すと、この作品が生まれる最初の動機は、あの3.11の大震災時、原発の放射能漏れが首都圏を覆ってる最中にあったという。

 

戸外で(たぶん汚染されてると思う)雨に打たれながら警備のバイトをやっていた彼が、初めて見えない死の恐怖というものを意識し、この現実を越える程の作品を自分は書いているだろうか?と真剣に思ったところにあるそうだ。

 

未だ作品の最初の方しか読んでなく、一瞥すると、ホラー・スプラッター小説に見えなくもないのだが、このことをふまえれば、実はそうではなく、真摯な意図が最後には浮上して来るに違いないと思っている。

 

 

           佐藤さんからの手紙

 

受賞後、お祝いの手紙を佐藤さんに出す。多忙だと想像し、「返事はいいよ」と記していたのだが、それでもほどなく返事を頂く。相変わらず律儀な人だ。

 

その佐藤さんからの手紙には、今回の応募者数338人の中から、何故、佐藤さんが選ばれたのか? 勿論、実力があったからに相違はないのだが、どうやらそれ以外にも見えない理由があったようだ。万年筆で丁寧に書かれた手紙には、その謎を解く重要な手がかりが記されていた。

 

そもそも“佐藤さんと江戸川乱歩”、その接点は、これまでのそこそこ長い過去の交遊を捜査しても全く見当たらない。もっぱらSFやロックが好きな佐藤さんとは、アーサー・C・クラークやJ・G・バラード、あるいはビートルズやオアシスなんかの話をいつもしていたと思う。ストレンジがたまに探偵小説の話をしたことはあっても、佐藤さんが話すということは、たぶんなかったと思う。

 

ところが、手紙を読んでストレンジも頷く。「ああ…そういうことなのか…!なるほど佐藤さんが選出されるわけだ。いや、佐藤さん以外には受賞は考えられなかった!」とも言える。 

 

それは、遥か60年代の終わり、「あの時代」からの、時空を越えた因果が、驚くべき見えない糸で2016年の現在に繋がっているからだ。

 

一体何のことなのか?、もちろん全くお判りにならないかと思う。全く意外な繋がりなのだが、そこに、見えない歴史の不思議な縁を感じざるを得ない。このことはいずれ、次の作品なり雑誌なりに発表されることと思うのでお楽しみに!

 

佐藤さんから来たこれまでの手紙と葉書(右下:受賞後の今回の手紙)
佐藤さんから来たこれまでの手紙と葉書(右下:受賞後の今回の手紙)

 

謎めいた気配を、作品にも作者自身にも漂わせている本書『QJKJQ』、
あなたの街の、仕事帰りにいつも立ち寄る、あそこの書店の新刊書の棚にも有リマス。ご興味と余裕のある方は、どうぞお買い求めを。興味はあるけど、そうでもない方は、お近くの図書館に、是非リクエストを!

 

ストレンジは、今年の「年間ミステリー大賞」ノミネートを、早くも期待している。

 

 

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