GUNKANJIMA

 

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長崎市の端島(通称、軍艦島)に呼ばれて行って来た。

軍艦島に呼ばれたのはこれが初めてではない。

 

'90年代後半、ある春の休日の朝、高校で同じ美術部だった旧友から電話があり、「ストレンジ、唐突だけど、軍艦島行かない?」と誘われた。

 

旧友は、炭坑跡や古い昭和の建物等、いわゆる近代遺産の建築物が好きな人で、その当時から自ら調べあちこち訪ね歩き、白黒銀塩フィルムで美しい写真に収めていた。誰も話題にしなかった頃から「軍艦島を世界遺産にする会」にも入って活動していた。

 

その頃の、私ストレンジは、軍艦島をはじめ古いモノへの関心は、「それらはすべて、ヴォルター・べンヤミンの言う、『アウラ』である。いわば残存記憶エネルギーだ。」などと、ちゃんと判ってるのかもアヤシイ考で、それほど関心を示さず、せっかくのお誘いだったのだが行かなかった。

 

 

時は流れ、今秋、再びのコーリング。

別の友人達からのお誘いだった。

 

日にちだけが先に決まった。具体的な上陸クルーズの予約を任される。調べてセットする。調べて判ったのだが、世界遺産決定後、軍艦島クルーズは大変な人気だ。2016年現在、5社あるクルーズ会社も、週末はおろか平日もほぼ満席状態で活況を呈している。一ヶ月前の予約でなんとか滑り込む。オヤ? 何だかスルスルと決まる。これは「行け(来い)」ということなのだろう。

 

軍艦島は、長崎港の沖、南西約19kmに位置する人工島。当然、海の天気に左右され、年間で100日位しか上陸出来ないらしい。運が悪ければ、上陸直前の桟橋まで来てて悪天候で引き返すこともあるそうだ。

 

当日は、これ以上はないくらい快晴の、波も穏やかな小春日和。

ひたすら見えない存在に感謝!最高の上陸クルーズ日和だった。

 

定員200人満席状態の船は、静かに上陸桟橋に予定通り到着、初上陸する。桟橋の階段を上がり切るまでは、島の全体の光景は判らない。

上がり切ると、一気にその全貌を現す。息を飲む。

 

                              

             無音の異世界

 

無音の異世界がそこにあった。

 

上陸後は、基本団体行動で、要所にて、ボランティアガイドの説明がある。昔から団体行動が苦手な自分は(笑)、集団の後ろの外れの方で、ガイドの説明も、聞いたり聞かなかったり…。

 

それより、圧倒的な眼前の光景、そこから声なき声が聴こえる気がして、

あたりの廃墟を茫然と眺め立ち竦むのだった。

 

そういう時、ガイドの声も遠のき、

以下のような、別の声が聴こえて来た…、気がした。

 

 

『何故、おまえは今日ここに来たと思う? ワシが呼んだのだよ。

ワシは、この軍艦島の言わば大霊じゃ。何故、おまえはここに呼ばれたのか? その意味を考えよ。何故、この島に、このように多くの人が来るようになったのか? その意味を考えよ。そしてそのことを伝えよ…。』

 

 

「…というところで、ここでの説明を終わります。本日はありがとうございました!それでは最初の第1見学広場へ…」

 

フト、われに戻ると、クルーズ参加者からガイドへの拍手が響く。

 

 

誤解を恐れずに表明すると、

軍艦島は、過去の昭和高度成長期の遺産を見に来る場所では、実はなく、SF作家 J・G・バラードの作品『終着の浜辺』の世界のように、今後やって来るであろう高度物質文明の終焉、近未来の世界を、あらかじめ認識する場所、なのだと思う。

 

少なくともストレンジは、そのようなメッセージを、軍艦島からいただいた。なので、この小文を通じてそのことを縁ある人に伝えたい。

 

もしアナタが軍艦島へ呼ばれたら、それに従うと良い。その目で肌で軍艦島を体感してほしい。訪れた人でないと判らない認識を持てる。それは持たないより、遥かに良いと思う。

 

image BGM: 旧友Nへ〜『MASS』/ YMO(1981)

本日のご訪問まことに有り難うございました。良い事がありますように!

 

 

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コメント: 6
  • #6

    ストレンジ (月曜日, 28 11月 2016 09:18)


    Fumioさん、再びの書き込みありがとうございます。
    『しかし、あまり生真面目に考えず、いろいろあるなー、と楽しむことにします』、というFumioさんのスタンスで、良いのでは?と思いますよ。

    と、言いますのも、「軍艦島」は、夕陽があたったりすると、独特の美も漂い、音楽で言えば、プログレッシヴ・ロックと相性が良い感じの場所です。

    その、プログレッシブロックの源は、それが好きな自分がいうのもナンデスガ、勘違いの妄想から生まれたものだったりもし、ある意味、深刻ぶる、大仰な音楽だったりもします(笑)。その大いなる勘違いが、美しい旋律を生んだりして、面白かったりするのですが…。

    とにかく軍艦島は、なんとなくそういう感じなのです。このような見方は、人間的ゲシュタルトの域を越えてはいないと思います。ありがとうございます。

  • #5

    Fumio (日曜日, 27 11月 2016 23:12)

    実は、今、ブログを見て感じたことですが、軍艦島についてストレンジさんが感じたことを私も直に感じるような気がして、少々慌てています。こういう感じは、良さそうでいて、実は重いもの、という感じで、素直に楽しめません。まあ、しかしあまり生真面目に考えず、いろいろあるなー、と楽しむことにします。次回は1月21日の予定です。

  • #4

    ストレンジ (木曜日, 24 11月 2016 22:42)

    Fumioさん、メッセージありがとうございます。

    ご訪問頂き恐縮です!軍艦島上陸クルーズは、建物を画像に収める若者から、ただ静かに眺めるご年配の方まで、老若男女、様々な年齢の方が、それぞれの動機で来ておられる感じでした。どのような動機であれ、現場に行く機会があったら、行かれることを、どなたにもおすすめしたいです。

    自分は、日常見慣れてる、いつもの町並みや、ありふれた通りが、いかに沢山の人為的情報に満ちているかを、思い知らされました。そのような情報の、「ない世界」というものを、人は、あまり見たことがないハズです。大自然の中、砂漠の中に佇む、というのはあるかもですが、建物だけはあるが、それ以外の情報が、「ない世界」、これは不思議な光景です。それらを目の当たりにして、初めて気付くものがあります。

    「霊気漂う」というよりは…、う〜ん、もっと、初めて体感するモノがソコにはあります。それは、沢山出てる軍艦島写真集でも全く伝わってない、というのが、訪れて良く判ります。言語化出来る出来ないに関わらず、上陸クルーズに参加した老若男女、皆感じたのでは?と思います。機会ある時は、Fumioさんも、他のどなたも、是非、行かれて見て下さい。

    11月の研究会は参加出来ずに残念でした。こちらについては、
    また改めてメール差し上げたいと思っています。
    有り難うございました!(ストレンジ・拝)






  • #3

    ストレンジ (木曜日, 24 11月 2016 21:43)

    Tsuyoshiさん、メッセージありがとうございます。

    今日は、54年振りの11月積雪だったようですね。大丈夫でしたか? こちらは良い天気でしたが、気温が低く風が冷たい1日でした。現在PCのある部屋の中は10℃くらいです。ここは寒いですからね〜。

    Super Moonブログは、Tsuyoshiさんに見てもらいたくて書いたようなものです。なので、コメント頂きとても嬉しく思っています。誰か一人の為にブログ書く…、というのもアリかな? なんて思ったりもします。

    健康へのお気遣い有り難うございます。tsuyoshiさんもお体に気をつけてこの冬をお過ごし下さいね。良い事がたくさんありますように!
    (ストレンジ・拝)

  • #2

    Fumio (水曜日, 23 11月 2016 22:59)

    なかなか行けない所なのに、お蔭様で行った気にさせてもらいました。霊気漂う、という感じですね。

  • #1

    tsuyoshi (水曜日, 23 11月 2016 21:58)

    Ultra Super Moon と軍艦島といいとっても貴重な写真をありがとう。
    明日は東京西部も50数年ぶりの11月の雪という予報。
    この24時間で約20℃の気温変化になりそうです。
    お互い体調に気を付けて2016年を乗り切りましょう。